月の友

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おかげさまで創立50周年

石川生まれの「月の友」これまでとこれからを語る

布団の販売で知られている全国月の友の会(以下、月の友)は今年、創立50 周年を迎えました。
現在、本社は京都市にありますが、同社の歴史をひも解いてみると、そのルーツは石川県にあります。
同社の歩みや経営理念について、北國新聞社論説委員の小倉正人氏が月の友の中嶋潔社長に聞きました。

寝具改善をスローガンに
その一念で事業を立ち上げ

小倉 創立50周年、おめでとうございます。月の友の創業の地は金沢市小橋町です。
実は私も小橋町の付近で生まれ育ちまして、おぼろげながら創業当時の会社の様子も記憶しています。

中嶋 それは奇遇ですね。私も小橋で育ち、小将町中学校で学びました。月の友は私の父、中嶋賢三が昭和34年に浅野川畔の水月旅館に集まった打綿業者の仲間たちと共に創業し、美しい月、夜に使う寝具、月賦販売からイメージし、命名しました。従って、創業で言えば今年で55年になります。

小倉 そうでしたか。本社を移転したのはどうしてでしょう。

中嶋 月の友は創業するとたちまち大評判を呼び、全国にその勢いが広がっていきました。
そこで、5年後の昭和39年に社名を「全国月の友の会」として、京都市山科に本社を移したのです。その年から数えると今年でちょうど50周年となるわけです。

小倉 昭和39年と言えば、東京オリンピックが開催された年ですね。

中嶋 ええ。東海道新幹線が開通したのもその年で、当社の本社ビル前を新幹線が走りました。

小倉 月の友は布団の販売から事業をスタートしたわけですが、どのように事業を拡大させていったのですか

中嶋 当社が創業した頃の日本は岩戸景気に沸き、白黒テレビや洗濯機、冷蔵庫の三種の神器を手に入れることで家庭に喜びと幸せがやって来はじめた時代です。しかし、さあ寝ようとなると、どの家庭も古くて粗末な重い布団で、寒い思いをしながら眠りにつくのが一般的でした。

小倉 たしかにそうでしたね。私自身もせんべい布団で寝ていて、ふかふかの布団は憧れでした。

中嶋 当時は木綿わたの重い布団を打ち直して使い続けることが普通でしたが、月の友ではそれを、合繊を使った軽くて暖かく、洗えて衛生的な布団に変えようと改善運動を起こしたのです。全国各地の婦人会に協力を得て、寝具改善の講習会を展開いたしました。また、日本各地の何千人もの会員店主が戸別に訪問して寝具改善を訴えました。こうした取り組みがどんどん広がり、やがて全国に100万人のお客様の輪が出来上がったのです。

全国に100万人のお客様を家族と思ってお付き合い

小倉 100万人ものお客様から支持を集める秘訣は何でしょうか。

中嶋 親が子を愛し、子が親を想う心、この気持ちを持ってお客様に接するという企業哲学の追求にあると思っています。

小倉 具体的にはどのようなことを指すのでしょうか。

中嶋 お客様のお宅に訪問する販売員を社員やセールスマンではなく、事業主として採用し、一人ひとりが正しい事業主として活動することを旨としました。その地域に元々住んでいる人で、信用のある人を厳しく選別して、その地域の責任者として任命しました。
そしてその人には「一人の正しい人間であれ」「うそ、インチキ、ごまかしをしない」「すべてをガラス張りにする」「お客様を家族と思ってお付き合いする」ことを企業哲学として厳しく義務付けし、それに反した行動をする人は月の友から除名しました。このことは50年たった今も脈々と続いています。

小倉 なるほど。商売にかける真摯企業姿勢が伝わってきます。

中嶋 もうひとつ要因を上げるならば、販売システムでしょうか。月の友では、まず実際に布団を使っていただき、良いと思ったら翌月から毎月の5分の1 ずつ5回払いで支払っていただくようにしました。金利はゼロです。
そして、使用途中の商品に不都合を感じた場合はいつでも返品、取り替えに応じることにしました。

5つのコンセプトで数千の商品を展開

小倉 ホスピタリティや販売システムももちろんですが、商品力こそがお客様に長く愛される理由ではないですか。

中嶋 そうですね。良い商品を提供することが何より大切です。そのために、メーカー各社とも家族のような関係を築き上げ、商品企画から完成まで2年も3年もかけて、どこにもないオリジナル商品を作り上げています。

小倉 最近のヒット商品には、どんなものがありますか。

中嶋 2年がかりで開発した掛け布団「ウィーンフィースト」が好評です。これは内部に微細な穴を開けた中空糸を用いた合繊綿とヨーロッパ産ホワイトダックダウンを重ねたハイブリッド構造の布団です。軽くて保温性と吸放湿性に優れ、家庭で丸洗いできる点が喜ばれています。

小倉 寝具のほかにも、さまざまな分野の商品にチャレンジしているそうですね。

中嶋 ええ。現在は布団など暮らしを快適にする「HOMY」、婦人衣料など美しさを追求する「BEAUTY」特定保健用食品など健康を支える「HEALTHY」、旅行商品など心をつなぐ「HEARTY」、知的欲求にこたえる「INTELLIGENT」の5つを開発コンセプトに据え、商品展開しています。すべて合わせると数千アイテムになるでしょうか。

小倉 それは大変な数ですね。かつての寝具改善運動のような活動は行っているのですか。

中嶋 今から10年前にライフサイエンス研究所を設立し、博士(人間科学)である所長が全国各地で健康教室を開催しています。テーマは血管や腸の健康、加齢や生活習慣が原因で足腰の機能が衰えるロコモティブシンドロームなどさまざまで、分かりやすいと好評をいただいています。

小倉 これからの月の友の取り組みについて聞かせてください。

中嶋 創立50 周年に向け、これまで培ったノウハウを結集させた記念商品を企画、発表していきますが、商品にとどまらず、サービスにも広げていきたいと思っています。
例えば、グループ会社の月の友観光が企画するどこにもない月の友らしい旅行プランを全国規模で実施する予定です。また、全国各地でお茶を楽しみながらこだわりのショッピングもできる独特なカフェステーションの設置を計画しています。
月の友は信頼していただける人の輪、ヒューマンネットワークこそが企業としてのコア・コンピタンスです。こうした取り組みを通して、100万人のヒューマンネットワークをさらに大きくしていきたいですね。

小倉 50周年を機に、ますますの発展を期待しています。

2014年1月3日付け朝刊掲載月の友 株式会社の会創立50周年記念対談